自由意志

日常のささやかな出来事を少しだけ面白く表現したい

思い出す出産の立ち合い  ~こんなにおおきくなりました~

先日、つい2週前に出産した幼稚園の頃からの同級生に会いに行った。まずは母子ともに健康で良かった!そして同級生家族には「おめでとう」という気持ちでいっぱいだ。

 

久し振りに新生児を抱っこした。「新生児ってこんなに小さかったっけ??」と思うほど小さく、可愛かった。鳴き声、動きはとても弱々しいけども、凄く力強く全力で生きている様子が見ていて感動を覚える。

 

ウチの子もこんな時期あったっけ?と思う。今では毎日けたたましく、毎日怒られている娘と息子。わんぱく盛り過ぎて将来が心配だ。

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子供はすぐに大きくなる。今この時期にしか見れないからこそ、仕事はほったからかして子供と一緒に遊ぼうと決めた(オイッ!)。

前置きが長くなってしまったが、ウチには子供が3人いる。下の2人は出産に立ち会った(長女は連れ子なので4歳から一緒に生活した為、出産時は立ち会っていない)。その立ち会った経験を今回ブログにしたく、キーを叩いている。

 

 出産の立ち合い

次女の出産立ち合い

次女は山口県で産まれた。その山口の産婦人科が地域でも有名なほど、「自然分娩」に力を入れており「人間本来の出産こそ母子ともに幸せになるエネルギー」みたいな事を言っていた。僕はもちろん初めての経験で基本的に何言ってるか分からない状態で「ふむふむ」と知ったような相槌をうっていた。

 

最初から出産には立ち会うつもりでいたので、「先生!僕、出産に立ち会いたいです!」と言うと、快くOKしてくれた。但し、1つだけ条件があり、DVDを観る事だった。
それくらい朝飯前ぜよ。
そのDVDを受け取り、さっそく家に帰って鑑賞(?)する事にした。出産にまつわる注意事項、心構えみたいなもんだと思って飯食いながら再生ボタンを押した。

 

ガチのやつだった。

 

車いすくらいの高さの椅子に座った女性が手すりを握りしめ、思いっきりいきんで出産するシーンが流れた。これ文字にすると不快な方は読み飛ばして頂きたいのですが、カメラはやや下から上に向けてのアングルでお母さんのド正面から撮影されている。周りにお医者さんもいなければ助産師さんもいない。お母さん完全に一人で出産している。いくら立ち合い経験のない僕でも「オイオイ、大丈夫かよ!」と思ったほどだ。

 

撮影用の出産シーンか??今なら倫理感を問われそうだが当時の僕には衝撃が強く、箸を持った手が固まった(少なくともご飯食べながら観るべきではない)。その後女性のいきみ具合が最高潮に達した後、頭が出てきた!!その頃には僕も「お母さん!ガンバレ!!」と画面に釘付けになっており、まるで立ち合いの旦那みたいに感情移入しまくっていた。次の瞬間にトゥルンと赤ちゃんが出産され、その出産ストーリーは幕を閉じた。

 

全部で15分くらいだったと記憶しているが、編集やカットは一切なし。挿入文字もなければ音楽もなし。女性も相当孤独だったと思うが、よくOKしたもんだ。改めて出産女性には賛辞を贈りたい!ありがとうございまいた!

 

よし!このDVDを観たからには僕は出産に立ち会う権利を正式に得た事になる。今この瞬間から僕は「出産立ち合い参加資格」を取得した事になる。これで俺の方はいつでも出産してもらって結構だ!さぁ来い!よし来い!!という心境でいた。と、まぁこっちが意気込んでも仕方がない。ゆっくり待つことにしよう。
しばらくして。

 

 

 

嫁:イテテテテ・・・。ヤバイ、来たかも・・・。

 

 

 

 予定日を大幅に遅れて、ついに陣痛がきた。嫁を車に乗せて産婦人科に直行した。
その後はイテテテテとなっては止んで、イテテテテってのをずっと繰り返して大変そうだった。それから随分と経って、やっと本格的なのが訪れたので、分娩室に移動した。

 

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分娩室に移動すると分娩台が佇んでいた。それはそうだ、分娩室なのだから。しかし、分娩台の真正面に大きな鏡もまた仁王立ちしていた。

 

嫁が分娩台に座って一息ついてから大きな鏡に気付いたのだが、その違和感が凄かった(らしい)。いくら自然分娩に力を入れていると言っても、鏡越しに自分の出産を見るのは恐怖であり、見たくないとの事。そんな余裕もないし、出産に集中させてくれよ!ってか分娩台の正面に鏡って鬼畜の所業以外の何物でもねーよ!
って事で、

 

嫁:あのー、その鏡どうにかなりませんか?

 

助産師さん:ですよねーーー(笑顔)

 

 

と言って、大きいタオルで仁王立ちする鏡を隠してくれました。
「いや、どないやねん!!」
おそらく今まで多くの出産する方に同じセリフを言われてきたのだろう。その鏡外しゃいいのに。

 

そんなこんなで紆余曲折ありながら産まれてきたのがコイツ。

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 長男の出産立ち合い 

3番目の長男は沖縄で出産した。出産したと言っても僕ではありません。嫁が出産しました。
こちらの産婦人科はこれと言った特徴もなく、普通の病院でした。立ち合いを希望したけども、出産DVDを見せられる事なくOKが出ました。
例のごとく、嫁に陣痛が始まってタクシーで病院に向かい、分娩室に案内された。出産に立ち会った時の男の情けなさったらない。嫁がウンウン苦しんでいるのに出来る事は全くないんですよね。声をかけてガンバレガンバレは言うけども、果たして俺は役に立ってるのか?それどころか邪魔になってはしないか、と考えた挙句、ウロウロするという結論に至った僕は目障りという助産師さんの意見が採用され、分娩室から摘まみ出される結果になった。分娩室の外でも廊下をウロウロウロウロウロしていると、

 

フンヌーーーーー、ハァハァハァ、フゥゥーーーアアアアァァァァ、

 

という絶叫(嫁ではない)が木霊しており、マジで怖かった。明け方近くの為、病院で真っ暗の廊下で叫び声はマジで怖い。幽霊的な怖さもあるけど、それよりは何倍も出産の過酷さ、怖さの方が上をいく。

 

心を無にしてウロウロしていると、助産師さんから「入っていいよ」的な言葉があった。一回摘まみ出されたのに何故入ってもいい事になったかは不明だが、それには構わず再度分娩室に入室した。

出産も最終段階に入っていて、僕も手を握って「ガンバレ」と応援した。もちろん効果はないだろうが必死で応援した。

 

ここで僕は何故か、一瞬あのDVDの中で語られたフレーズを思い出した。


「出産時、苦しいのはお母さんだけではありません。赤ちゃんも必死で頑張っています。苦しい、早く出てきてではなく、苦しい時こそ赤ちゃんにもうすぐだから頑張ってね、という気持ちで出産するのです。」

 

そうだ!赤ちゃんも今お腹から必死に出てこようと頑張っているんだ!赤ちゃんもお応援しなければ!と思い至った僕はカーテンの向こう側に行こうと顔を覗かせた。

 

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すると助産師さんに、物凄い形相で睨まれ、

「ちょっ!旦那さん!!ここはいけません!!」

と言われて、引っ込んだ。今冷静に振り返るとおそらく助産師さんは

「あんた!こんな大事な時に何してんの!!」

と言いたかったんだろう。僕が興味本位で子供が出てくる様子を見たい奇人だと思われたかもしれない。ち、違う、違うんだ。僕は赤ちゃんを応援しようとして・・・。と言葉にはしなかったが、心の中でそう呟いた。
実を言うと、山口の自然分娩に力を入れた産婦人科では「お父さんも極力全て見てください」ってスタンスだったので、向こうは分娩台にカーテンすらもなかった。だから僕はお腹から頭が出てくるのも見たし、そこまで怖くなかった。だからこそ、それがあまり悪い事だとも思わずにカーテンの向こう側に行ったのだが、それはいけない事だという事をこの時初めて知った。

 

また、後になって知ったのだが、お母さんがそのシーンを見られたくない人が圧倒的に多い(当たり前か)からというのが理由らしい。世の中の出産に立ち会う男性諸君。カーテンの向こう側には気軽に行ってはいけないぞ!!

 

その後にこれまた「トゥルン」と出てきた将来有望な男前がコチラ☟

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2人共、自由に大きく生きてほしいもんだ!