自由意志

日常のささやかな出来事を少しだけ面白く表現したい

里親になろうと試みたけどそんなに甘くはなかった件

世の為、人の為、みんなが手を取り合う世界。
これは僕が思う優しい世界だ。
実現したいとかそういう事ではない。
こんな世界だったら素晴らしいだろうな、とかのただの理想郷。
大きな事じゃなくていい。どんな小さなことでもいい。落ちてるゴミを一個拾ってゴミ箱に捨てた、とか誰にでも出来るけど誰もやらない事を多くの人がやれば優しい世界になるのではないかと、そう思って日々生きている。(拾ってないけど)

  

自分にも出来る優しい事とは何だろうか。
献血は気が向いたら行っている。俺みたいなクソみたいな人間の血液で人が救えるのならどうぞ使ってくれ。あ、でも俺も死にたくないからほどほどにな!って気持ちでやっている。あとお菓子とジュースたくさん飲み食いできるところも気に入っている。
(でも去年くらいからお菓子が撤去された。もしかしたら俺がお菓子食い過ぎて予算が足りなくなって撤去したのでないかと思い、内心ビビっている)
他にも地域の行事とか草刈りとかあったら行くようにしている。俺が今暮らせるのはこの地域の人々が守ってきた上に成り立っている。これは忘れてはいけない。

 

毎日毎日のほほんと生きているのは俺だ。
そんなある日こんなニュースが目に入ってきた。

sirabee.com

俺は考えた。
俺にも何か出来る事があるのではないだろうか。
困っている子供に手を差し伸べなければならないのではないか。
自分は何不自由なく幸せを満喫しておいて、困った他人には知らん顔していては優しい世界はやってこない。そんな卑怯な真似はしてはならない。お母さんに怒られるぞ!!

 

 

それから数日後、嫁さんと一緒に役所に足を運んだ。子供支援課的な(正式名称忘れた)名前の部署に案内され、2名の美女と相対した。うむ。美女と話すのは気持ちがいい。これは僕の下心がそうさせるのではない。男の本能に組み込まれたDNAなのだから仕方がない。文句があるなら神様に言ってくれ。アーメン。

 

その美女2名から色々説明を受けた。児童虐待が発覚して親と子供を離さなければならない親子、経済的に困窮していて子育て出来る環境にない家族、親が交通事故で子供を育てる事が難しくなった人、子供を育てる事を止めてしまった人等。聞くだけで胸が苦しくなるような時間だった。何不自由なくのほほんと過ごしている自分に罪悪感すら感じた。子供は親を選べない。不幸な環境に生まれてしまった子供は誰かが手を差し伸べなければならない。僕はより一層「手を差し伸べてやらねば」との想いを強くした。

 

これを解決するには「里親制度」に登録しなければならないとの事だった。うん、それなら聞いたことあるぞ!ただ実際には里親制度も色々あって、短期なのか長期なのか年齢はどの程度なのか、男か女か、他にも項目がたくさんあった。例えば我が家には子供が3人いる。長女は当時小6だったので年ごろの男は受け入れるのは難しいだろう、とか。下の子は2人とも保育園児だから赤ちゃんはダメだろう、とか。


あと実際の親と子供がはち会うのは絶対に妨げなければならず、引き受けた子供と一緒にスーパーとか遊びに行くとはかアウトだそう。他にも四六時中目の届くところにいなければならず、お留守番もダメ、遊びに行かせるのもダメだと言われた。スーパーで買い物する間に車で待たせる事もダメだと言われたのには驚いた。そんなんで生活するのって事実上不可能じゃないか!!とにかくあれもダメ、これもダメでとても受け入れる事は出来なかった。もし受け入れたとしても、我が子の幸せ満足度が下がるのでは本末転倒だ。

 

他にもある。子育てする上でお金は大きな問題だ。経済的に余裕がある家庭しか事実上受け入れていない事も分かった。その意味では我が家に余裕はなくとても受け入れられる状況ではない。実際に受け入れるのであれば、嫁は受け入れた子に付きっ切りになるはずで、仕事も辞めなくてはならない。それは無理だ。また、里親に関して、受け入れた子供にかかる費用は行政が支払う事にはなっているが、事実上家庭が持ち出している場合も多いとの事。

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そんなやりとりをして、結論としては今里親になるのは不可だった。受け入れを甘くみていたと反省した。勢いだけでここまできてしまい、また悪いクセが出たかもしれない。美女2名からは「里親受け入れが本当に足りていない、今回は条件が厳しいけども、いつか子供たちが大きくなったら是非来てください」と言われたのが唯一の救いだったかな。美女に励まされると元気が出るね!!

 

それでも詳しく話を聞き、確かに今受け入れるのはとても無理だろうと納得した。実際に受け入れているのは子育ての時期を終え、ある程度生活資金もある方がほとんどだという事だった。考えてみると、そりゃそうだと思う。自分の子供を育てながら他人の子供を育てるのがいかに難しいか、少し想像したらわかる。今の我が家の環境、財政状況ではとても里親になる資格はない。話が終わる頃にはしょぼんとした、と同時にま~そりゃそうか~と妙に納得した。

 

最後に今回の件で感動した事を1つ。
里親として受け入れてくれる人は、多くの方を受け入れてくれているそうだ。一時里親として受け入れ、送り出してはまた受け入れて。その様に繰り返して子供たちを受けて入れていて子育て支援課的な部署としても本当に助かっていると話していた。

 

やっぱり誰にも知られずとも、優しい世界を目指して行動している人はいたんだ!!

 

今回俺は何も協力する事は出来なかった。スタートラインにすら立つ事は出来なかったが、人知れず優しい世界を目指している人がいると分かっただけでも、良かった!!
いつか子供たちが自立して、お金持ちになったら(いつ!?)子供たちに手を差し伸べる事が出来るイケメンチョイワルジジィになっていたい。