自由意志

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コンビニエンスな日々⑥  ~作業割当を作ったら継続してお店がキレイになった~

 

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 ~続き~

 

近隣団地への求人チラシ撒き作戦も、幸先はよかったものの、結局応募・採用は二人に留まった。
しかし、このはコンビニエンス未経験者だが、要領よく仕事を覚えた上に接客も申し分ない。
すぐにシフトを任せるまでに成長した。まだまだシフトカバーが必要ではあったが、今までの様に殺人的な勤務時間は解消されつつあった。シフトが壊滅的な時には「二回出勤」という手法も使っていた。

※二回出勤とは、8時間の勤務時間を終えて退勤を切った5分後にまた出勤を切って8時間働く事。24時間営業だから出来る技ではあるが、二日分の出勤を最短で終わらせる事が出来るメリットがある。今は禁止されているが。

そして少しずつ自分の仕事が出来る体制作りが出来てきた。
この頃アゴの長い店長はシフトカバーせずに済む体制に安堵しながらも、やる事がなくてサボりだしていた。ダメだコイツは。無視して自分のやるべき事をやろう。

まず副店長の僕が一番に取り組んだ事。それは「掃除」だ。
おそらく「ふ~ん」と思った方が大多数だろう。この掃除が結構やっかいな作業なのだ。いや、作業自体は簡単だし誰でもできるが、続かないのだ。
1日だけ掃除したところで、コンビニエンスのお店は1日大体1000人くらい来店され、すぐに汚くなる。ホコリは舞うし虫もたくさん入ってくる。
毎日毎日決まった時間に決まった場所を掃除する必要があるのだ。
パートさんに掃除の指示を出しても継続しなければまたすぐに汚れるというわけだ。
どうすれば継続して清潔なお店が保たれるのかを考えた結果、「作業割当だ!!」と閃いた。
作業割当とは時間帯ごとに作業をチェックリスト形式にして、その作業を終えたらサインをするやつのこと。
これを元に作業を管理すれば、継続的に清潔で衛生的なお店が保たれるはずだ!
(ってかどんだけ汚いんだよ)
どうせ作業割当を作るなら掃除以外にも色々書いてみよう、という事でパートさんと相談しながら時間帯ごとに作業割当表を作成してみた。
☟これが一番最初に使った作業割当表(一部抜粋)

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奇跡的に初めて作成した10年以上前の作業割当表が残っていたww
初めて作成したとはいえ、なんて雑なんだ・・・。
めちゃくちゃ恥ずかしい。
あくまでもこれは初めて作成しただけで、後々にはもっと精度の高い作業割当作ってたので許して!!(何を?)

とりあえずこの作業割当表を使ってみると、パートさんや深夜のバイトからは不満の声が多く上がったが、明らかに店舗レベルが上がった。
逆に言えば、これがなければ仕事は適当にやってもなんとなく大丈夫なのがコンビニエンスだ。24時間の仕事を俯瞰して見る事はパートさん、アルバイトでは出来ない。これこそが自分の仕事だ。また自分で仕事の楽しさを覚えた瞬間でもあった。

今まではお客さんに「トイレットペーパーないんだけど!!(怒)」「外のゴミ箱がパンパンでとんでもない事になってるよ」「なんかこの店おでん臭い」とか1日に2,3回は言われていたが、この作業割当を作成してからピタっと止んだ。
これは何気に凄いことなのだ。今まで何回口を酸っぱくあれやれこれやれと言っても継続せずに、「何でやってくれないんだーーー!!」と内心怒り心頭だったのが、コレ1つで出来るのだ。もうほとんど革命である。
1ヶ月もすればこの作業割当にも馴れ、スムーズに高いレベルで清潔さが維持出来るようになった。
この頃には嬉しい変化もあった。
自分の時間が作れるようになってきたのだ。
今までの「どの時間帯にやるのか不明確な作業」が明確になったことで、「自分たちの仕事の領域」の意識が芽生えた。
例えばトイレ掃除をした人は掃除で終わるのではなく、シフト上がりの時にトイレットペーパーが切れそうじゃないか確認して帰るようになった。
他にも外のゴミ箱の掃除をした人は駐車場全体を一周してゴミが落ちていないか見るようになった。
この作業割当一つで責任感が生まれたのだ。
よし、これからが俺の店舗改革の始まりだ!
そう意気込み気合十分だった時、全く違う場所から地獄が近づいていた。
事務所にある両替用金庫から10万円が消えていた。
もちろんそこの金庫はお客さんの目に触れる事はない。
金庫のカギは店長か副店長の僕しか持っていない。

 

え・・・、何これ?

 

今から訪れる恐ろしい出来事はこの時は知る由もなかった。