コンビニエンスな日々③ 〜シフトカバー地獄の序章〜
出勤二日目。
昨日は副店長としての業務内容、役割、お店の状況把握等で殆ど業務は出来なかった。
今日からは本格的に売り場に立って、パートさんやお客さんとコミュニケーションを交わそうと考えていた。
パートさんと上手くやっていかない事には、お店の数字は上がらないと、噂に聞いていたし、必要不可欠なものだ。
そう思っていたが、パートさんが来ない。
13時からパートさんが来るはずなのに、5分前になっても誰も来ない。
え?遅刻?
と思って横にいる店長に聞いてみた。
「あ、今日は昼から誰も来ないよ。一人で回して」
あ、そうか、そういえばウチは人がいないって昨日言ってたや。
膨大な引き継ぎ、業務内容のレクチャーで薄くなった記憶が戻ってきた。
まぁ、13時からのアイドルタイムは暇だし、大丈夫か。
そう思って、バックヤードに張り出されているシフト表を見た。
ん?何か作成途中のシフト表が張り出されているぞ。
自由:「店長、完成したシフト表はないんですか?」
と聞いてみた。
が、返答は予想外のものだった。
店長:「え?それ完成してるよ。」
どうゆう事?ともう一度シフト表を見返した。
店長:「空欄のところは全部君がフォローするんだよ」
え・・・・・・・。
ほとんど白紙やん。
子供の落書きの方がまだ埋まっている。
早朝なんか全然いない。深夜も。
夕方はほとんど高校生だから、いつ飛ぶか分からないし、午後シフトもいない日がほとんどだ。
この時僕は地獄の沼に片足踏み入れていた事をまだ理解出来ていなかった。
それにしてもこのシフトの空きはまずくないか??そこで店長に
自由:「バイト、募集しないんですか?」
と、恐る恐る聞いてみた。すると
店長:「募集しても来ないのよ。」
の一言だった。
僕が研修生の時は、バイトが抜けると我々研修生がフォローするので、むしろバイトが休んだ時は研修生の出番くらいに考えていた。
しかし、本来研修生なんて店にはいない。バイトがいなければ自分でカバーするしかない。
24時間いつでもそうだ。
それがコンビニエンス!!
研修生時代のクセが抜けておらず、シフトに対する意識が希薄だった事もあり、ヤバイと思いつつも、なんとかなるだろ、と思っていた。
13時から売り場に立ち、シフトカバーに入った。
今日の目的だったパートさんとのコミュニケーションは幻と化した。
そして17時からのシフトも一人しか来ない。もちろん僕がシフトカバー。
13時から休憩なしのぶっ続けで22時までカバーして、まだ慣れない事もあってヘロヘロになっていた。
明日も仕事なのに、早く帰りたい・・・。
そう頭をよぎった。でも店長まだいる。
え?この人何時からいるの?
僕は今日12時30分くらいに出勤だったけど、店長は発注あるから8時くらいには最低でもいるはず。
今22時過ぎ。明日は店長が早朝のシフトカバーしなければ回らないから、5時30分にはまたお店に来ないといけない。
帰る時間とか差し引いたら、家にいる時間6時間ちょいくらい??
僕の目の前の色が暗くなってきたのが分かった。
これが毎日続くのか??
睡眠時間何時間?休みある?
今はまだホテル暮らしだから、終電あるから早めに帰れるけど、引越したら家に帰るの何時??
体ごと谷底に落ちていく妙な感覚だけが残っていて、二日目にして早くも絶望の二文字が浮かんだ。
業務もまだ覚えてない、シフトは穴だらけ、売り場とバックヤードグチャグチャ・・・。
そしてシフトカバーを終え、夜勤シフトの二人が来て、やっと一息つけた。
その後もなんやかんややっていると、23時30分前、終電の時間だ。
終電に合わせて逃げるようにお店から出てきたが、引越ししたらいったい何時までいたのだろう。
帰りの電車で、あまりにも疲れてしまい、ウトウトしていたら寝過ごしてしまった。
自由君は、今後どうなるのだろう。