自由意志

日常のささやかな出来事を少しだけ面白く表現したい

元コンビニマンの戯言 凄いお客さんの話

昨日に続き、解放したい欲がまだまだ継続中。
今日は凄いお客さんについて解放していきたい。

 

コンビニには年齢問わず、老若男女、あらゆる職種を問わずお客様が訪れる。
ホワイトカラーからブルーカラーは当然の事、ブルジョワ層から段ボーラー、専業主婦からおヤクザさんまで、本当に多種多様の方が毎日来店される。
こんな職業はコンビニくらいのものだろう。
つまり、どの様なお客様にも柔軟に対応しなければならないコンビニスタッフは実はプロフェッショナルなのだ!

 

しかし、そのような能力の高いコンビニスタッフを持ってしても、稀に対応出来ない強敵が現れる。

(お客様を敵と表現するのは心苦しいが、接客する相手として手強いと解釈してほしい)

その強敵をご紹介したい。

 

【Lv.10:行列レジのカウンターでバッグひっくり返すギャル】

コンビニのピークは行列が出来る。

お客さんがコンビニに求めるのは商品と迅速性。

即ち、商品を見つけたらすぐに購入できる便利さだ。

これはスーパーでは真似できない。

広い駐車場から広い店内に入り、商品を探してまたレジに並ぶなんて面倒くさいのが理由だ。

従ってコンビニスタッフにとってスピードは命。

行列をいかにすばやくいなす事が出来るかは、スタッフの腕の見せ所だ。

そこで登場。

ちょくちょく現れる、TPO無理解タイプ。

大名行列並みの長蛇も構わず、レジに来た時になって

「サイフがな~~い」

とエルメスのバッグをカウンターでひっくり返す系ギャル。

おまえ、並んでる時に探しとけよっ!!!

と胸の内で毒づくが、そこはコンビニスタッフ。

じっとサイフが見つかるまで大名達の射るような視線に耐えながら辛抱した。

 

【Lv.20:急にブチギレ系老人】

これは想像に難くないと思うが、老人はよくブチギレる。

僕の経験上、老人は変化に弱い。

昨日まで通っていた事が今日出来ないとなると、すぐにブチギレる。

7,8年くらい前だろうか。

酒とタバコを購入する際にレジのお客様側の画面に

「二十歳以上ですか?」

と承認ボタンが出現する使用になった。

今でこそ当たり前だが、当時は「メンドクセー」の嵐だった。

これはお客さんはもちろんの事、スタッフからのブーイングも多かった。

この、昨日まではスムーズに購入できた酒、タバコが今日になって急に「ボタンを押す」という一手間がかかるようになった事について「おやっ」とお客さんは思ったはずだ。

ここからは個人の意見として聞いて欲しい。

なぜか老人はブチギレる人が多いのだ!

もちろん全員ではない。

しかし、若者、中年で怒る人は1人もいなかった。

説明すると「あ、そうなのね」と快くボタンを押して、ご購入して頂ける。

ブチギレ老人は

「昨日まではなかったじゃないか!!誰が押すかこんなもの!」

と店内で喚き散らしている。

これ、一人や二人ではありません。

ブチギレすぎてレジの画面殴って破損させたり、自動ドアを蹴ってガラスを割った人もいました。(これはコンビニ仲間から聞いたもの)

ボタン押すだけなのに、よくそんなに怒れるな、と逆に関心してしまう程ですが、このブチギレ系老人は敏腕スタッフでも対応が難しい。

 

【Lv.40:万引き犯で捕らえられたはずなのにバイトに応募してきた系おばさん】

理解不能。

腕に落書きみたいな入れ墨が入っていて入店から常にバイトのポジションを確認し、万引きしようと目をギラつかせている。
自分がマークされているとも知らず、バイトがレジに入ったタイミングを見て万引き。ありきたりな方法。コンビニは多くは裏で店長か責任者が裏にいて防犯カメラでモニターをチェックしている。
そんなヤツ見逃すはずがない。
そこまではただの万引き犯で出禁にして完了、のはずだが・・・。
何を思ったか、バイトに応募してきた。
もちろん即不採用。0.1秒かからない。ってか万引きせずとも腕に入れ墨してたら接客業は成り立たねーよ。
それでも店に買い物に来る神経が優秀なコンビニスタッフでも理解の範疇を超える。

 

【Lv.99:デスタムーアとセフィロス】

あくまでも僕の経験上ではあるが、ラスボスに匹敵する強さを持つお客さんが過去2人いた。

1人に絞りたかったが、甲乙つけがたし!2人選出させて頂きました!

まず「デスタムーア」から。

言わずと知れた不朽の名作ドラクエ6のラスボス。

このデスタムーア、ブログに書くのも憚られるのですが、ここまで来たら言わせて下さい。

ラスボスの為か一度しか出現しなかったのですが、その一度の登場で店舗が震撼する程の必殺技を繰り広げたのだった!

「人糞壁に塗りたくり砲」

凄まじい破壊力!ミナデイン、ビッグバン、でも敵わない。

バイトが泣きながら僕の元へやって来て、

「店長、トイレが、トイレが大変なことに」

泣き声枯らして俯いている僕の可愛いアルバイトスタッフに何があったのだ!?

人でも死んでいるのか、と駆け足で向かったトイレのドアを開くと

 

 

地獄絵図が待ち構えていた。

これはとんでもないことになった。

壁に向かって明らかに何かでこすりつける様にして塗りたくられている。壁だけではない。

トイレの便器、ウォシュレットの操作ボタン。

ネジの十(プラス)の溝にまで人糞が入り込んでいる。

うぉい!そこはプラスドライバーを差し込むのであって、人糞で埋める溝ではないっ!!

デスタムーアの一撃で我々コンビニ店員は全滅したのだった。

 

 

次に「セフィロス」。大人気作、ファイナルファンタジー7のラスボス。

初めて闘った時のあまりの強さがショックで投げ出してしまった人は僕だけではないだろう。

その出で立ち、風格、貫禄に闘う前から敵わないと悟った、まるでどうしようもない相手と対峙した時をそのお客さんは思い出させた。

なんと、そのお客さん(お客さんではないかもしれない)は、車の中でドアを開けて性行為に及んでいた。

信じられないかもしれないが、これは事実だ。

黒のハイエースで後部座席のスライドドアを全開にし、AVさながらの臨場感である。

真夜中の駐車場で車ユサユサ、時折響く甲高い声。

 

なんでやねん!

 

なんでココでやねん!

 

もう我々コンビニスタッフではどうしようもなく、出来ることもないく、ただ虚空を仰ぐしかなかったのであった。

 

紹介終わり!全て事実。

事実は小説よりも奇なり。

最後に1つだけ。

99パーセントのお客さんは良いお客さんです。

この強敵の面々が全てではありませんので、そこだけは、どうぞご理解よろしくお願いします。