自由意志

日常のささやかな出来事を少しだけ面白く表現したい

突発性難聴は治るのか治らないのか自分の経験から伝えたいこと  ~後編~

☟前編

 

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~後編~

翌日朝イチで耳鼻科に行ってきた。

 僕:先生、右耳がザラザラして全然聞こえないんです。

医者:それはいつから?

 僕:昨日からですね。朝起きた時違和感はあったんですが、急に聞こえにくくなりました。

 

お医者さんは曇った表情になり、その後聴力テストをしました。
ヘッドホンみたいなヤツを装着して「ピー」と音がしたら手に持っているボタンを押すアレです。
まずは正常な右耳からテストしました。
完璧にクリアした。看護師さんも左耳は問題なさげにスムーズに終える事ができました。
次は問題の右耳のテスト。この期に及んでまだ、心の内で「まぁ聞こえるだろ」とか思っていました。

 

・・・・・・・・・。




 僕:テストしてます?

長い時間何も音が流れなったので、テスト中に関わらず僕はヘッドホンを外して看護師さんに質問していました。
これ、音が聞こえずに心配になったから聞いたんじゃなくて、看護師さんの手違いでヘッドホンからテスト音が出力されていないと思っていたんです。

看護師:テスト中です。ヘッドホンを装着してください。

なんだよ、音出てないけど、このヘッドホン壊れてるんじゃないの??
そう思いながらも不貞腐れながら装着。


・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

それでもやっぱり何も聞こえない。
どゆことやねん!!
テストも何も、壊れたヘッドホンで何もテスト出来るわけねーじゃん!
少し怒り始めたころ、遠くの方から・・・

 

 

 

・・・・・・・・ィィィィー・・・・・・・・・。

 

 

と微かに聞こえました。
あ、やっと聞こえた!
ん?でも違和感がある。
右耳?いや、これ左耳から聞こえてくるぞ。
やっぱりヘッドホン壊れてるじゃないかよ。テスト
が終わってヘッドホンを外して

 

 僕:これ右側のヘッドホン壊れてますよ。だって右耳のテストで左耳から音が聞こえてきましたもん。

 

看護師さん:先生にその様に伝えておきます。(メモメモ)

 

え、何?もう一回ヘッドホン替えてテストするんじゃないの?
何考えてんの、ここの看護師。時間ないのに・・・。
その時はそう思っていた。

 

 

しかし、これ後で知ったことなんだけど、この時ヘッドホンは壊れてなかったんです。
僕の右耳が前日よりも悪化して完全に潰れていたんです。
左耳が聞こえていたのは本当です。
これ、びっくりするんですけど、テストで右側の音量を大きくしすぎてその音が漏れて左耳から聞こえてたんです。
それでも右耳からは何も聞こえませんでした。ザーザーという耳鳴り以外は。


医者:テストの結果から、突発性難聴と考えて間違いないと思います。

 僕:ん?はぁ。

医者:右耳はもうほとんど聞こえていません。

 僕:え?そうなの?(あれ?ヘッドホンが壊れてたんじゃないの?)

医者:早急に治療が必要になります。時間との勝負になりますので今から点滴を打ちます。かくかくしかじか。

 

なんか病気を受け入れられないままベッドで点滴を打つことになった。
これからとりあえず1週間は朝点滴を打って、その後にまた再検査するとお医者さんに言われた。
この時でさえ、実感が湧かなかったが、お医者さんの次の発言で言葉を失った。

 

 

突発性難聴に罹ると

完治するのは1/3

改善するが聴力は元には戻らないのが1/3

全く聴力は戻らず一生耳鳴りと難聴になるのが1/3

このうち、治療が遅れれば遅れる程、重症化する傾向にあります。

今は治療最優先で考えてください。

 

何っ!!?治らない場合があるの?
しかも結構高確率。聞こえないばかりじゃなくて耳鳴り付き!!?
実は耳鳴りが酷くなって頭痛がして眠れなくなっていた。
これが一生続くかもしれないと思うと、この時初めて危機感が全身を駆け巡った。
自分の身体を襲った初めての病気に全身が粟立つような恐怖に晒された。
運転、仕事、日常会話レベルでも支障をきたすかもしれない。
これは絶対に完治させなければならない。
しかし、現代の医療レベルでも原因がハッキリしていないのが実情である。
原因が分からないのに治療して治るものなのか・・・。
でも今はお医者さんを信じて治療に専念するしかない。
ただ、専念と言っても毎朝点滴打ちにくるだけで、他に出来る事はない。
そこからはもどかしい1週間が過ぎていった。
相変わらず耳鳴りはするし、右側の音は聞こえない。
いつものクセで電話を右側の耳で受けたらザーザーとしか聞こえず、慌てて左耳に持ち替えた。
ストレスは大敵だと思い、食事と睡眠はよく取った。
ここはあえて「いつもよりも休もう」とは思わずに、午前中は点滴して午後からは仕事をした。

 

これが正解だったかは分からないが、治療4日目から明らかに改善の兆しが出てきた。
相変わらず耳鳴りはするけども、会話程度なら聞き取れる様になってきた。
1週間が経ち、再検査の日。
前回同様ヘッドホンを装着し、テスト開始。
左耳は問題なし。右耳テスト。

 

 

「ピーピー」

 

 

 

聞こえる!!

 

 

 

「ピーピー」

 

 

 

ハッキリ聞こえる!!
治った!耳鳴りもない!

 

お医者さんがテスト結果を確認してフッと真顔になった。
え・・・。何かあるの?まだ治ってないの?
また得体の知れない恐怖が頭をよぎる。

医者:左耳よりもよく聞こえているようだね。突発性難聴を何人も見てきたけど、こんなに回復したのは君が初めてだよ。

 

そこで意地悪な笑顔を寄越してきた。
なんだよこの野郎!心配したじゃないかよ!治ったって言えよ!
怒り嬉し笑いのような、おかしな感情が溢れてきて、先生にお礼の言葉を述べた。
そこで周りの看護師さんから急に拍手をもらった。


看護師:あんまり完治する人はいないのよ。ここまで良くなった人は今までいなかったわ。きっと発症してすぐに治療を開始したからよ。最初来たときは全く聞こえてなかったからこれは危ないって正直思ったのよ。でも聞こえるようになって良かった。

 

この言葉には嬉しい半面、正直ゾッとした。
治らない人も多いって、一生耳鳴りと頭痛に悩まされる事になるのだから。
あれは突発性難聴になった人にしか分からないかもしれないが、本当に不快な音が四六時中脳に直接響いてくる。
特に静かなときはマジでうるさい。眠れたもんじゃない。
治って良かった。この時本当にそう思った。

 

 

 

 

~後日談~
僕は運よく発症して翌日病院に行ったが、出来る事ならその日に行くべきだ。
発症から治療までの時間が勝負だ。
これは僕の考えだが、片耳聞こえないのはまずいけども、もう片方の耳が聞こえていれば、支障はでるが普段の生活ができない事もない。
ただ、耳鳴りのデカさは尋常ではない。そこから派生して頭痛、吐き気、寝不足、倦怠感、から病気を引き起こす可能性は十分にあると思う。
だからこそ、何度も言うけども、突発性難聴を引き起こしたら即病院へだ。
これをお読み頂いた方は、本人、周囲に疑われる症状があった場合は最優先で病院を案内して欲しい。そう願ってやまない自由意志でした。